for better or worse(どのような運命になろうとも)

少し前になりますが、8月に奈良美智さんの展覧会を観に行きました。

開催されていた豊田市美術館は、すごく好きな美術館です。

展示室はとても素敵な設計になっていて、規模もほど良く、外観もロケーションも素晴らしいです。

小高い丘の上に建っているので、雪が降ったらスキーが出来そうなくらいの坂道を上らないと辿り着けないのですが、こういう場所にある美術館は、本当に興味があって心して観たいと思う人が来ているので、落ちついて鑑賞ができます。

駅からの道のりは、そこかしこに道しるべがあるので確実に迷わず行けます。この親切なはからいには、感動です。


坂道を上って、到着〜。


庭園の池側から観た美術館。

水の上に浮いているみたいです。


美術館と池を背にすると、緑が気持ち良い庭園があります。


そして、この柳の木のあいだの小道を奥へ進んで行くと…


『童子苑』というお茶室があります。


ここには日本庭園があり、お茶(お菓子付¥350)で一服できます。

こういう空間は時間がゆっくり流れていて、心が洗われる気がします。


こちらは、はじめに入った入口とは反対側にある入口から観た外観。


ミュージアムショップでポストカードを買ったら、こんな可愛い袋に入れてもらえました♪


今回の展示のなかでお気に入りの作品のPOSTCARD。

『 M I A 』


『 Dead of Night 』


『 Midnight Truth 』


『 M I A 』は、missing in action の略だそうです。

ポストカードでは中々伝わらないのですが、生の作品は圧倒的な存在感で、この少女の目はビー玉のように透き通って本当にキラキラと光り輝いていました。

そして重厚な絵肌の奥からは、作品の根底にあるロック魂の青い炎が静かに熱くゆらゆらと揺れているような、すごい熱量を感じました。

 

『 Midnight Truth 』は2017の新作で、いちばん最後の小部屋になっている照明を落とした展示室に1点だけ展示されていました。

この作品を観ている間、偶然この展示室には私ひとりだけだったので、幸運にも作品と1対1で向かい合えたのですが、この少女と向かい合った瞬間、少女の視線がズコーンと心の奥まで突き刺さり、すべてを見透かされて丸裸にされたような気がしました。

そして「自分に嘘はつけないな…」とあらためて思いました。

 

学生時代に愛知県で長期間過ごした奈良さん自身が「遅すぎる卒業制作のような展覧会」と言われていた今回の展示は、これまでに観た展覧会のなかで3本の指に入る素晴らしく見応えのある展示でした。

観ている最中ほんとうに楽しくて、できることなら3日間くらい美術館に泊まり込んで、隅から隅までくまなく観ていたいと思いました。